上陸

20時間かけてJFK空港に降りたらもう深夜だった。結果的にsentimental jearneyとなってしまったけれども。めずらしく機内で何時間か眠ることができたのは進歩か。キャビン・クルーがみなさん美人でしょうがなかった。チャイナ・エアライン。映画「余命1ヶ月の花嫁」を小画面で鑑賞。新しさは何一つ見出せなかったが、病気の進行で髪が抜けはじめ、悲しさと悔しさにうちひしがれてベッドにつっぷすシーンは、大根芝居も気にならず、心を苦しくするものがあった。

到着ターミナルに出たものの、いつものように迎えはない。乗合バスが便利かなと受付を探そうとしたところで、インド人だかイラン人だかに話しかけられる。「バスか?タクシーか?」訛っている。『とうぜん無視だ。』「バスならこっちだ、そっちはなんにもないぜ、ボーイ。」『おれは勝手にいきたいのだ。命令されんのがなにより癪なのだ。英語でどう言うんだ?こういう構文を教えとけ。』「ああ、バスだ。」答えたのがマズかったか。大男2人がかりでスーツケースを奪ってずんずん駐車場にむかっていく。舐められたものだ。むろんおれの相手ではない。「だんな、とにかくしゃべらなきゃ。何に乗るのか言わないと。」「イズ ディス スーパーシャトル?」「もちろんでさ」「resavationは?ほんで真っ黒やないか?写真と全然ちゃうぞ。おもくそblue-vanゆうて書いてるやんけ。でここに黄色でSuperShuttleのはずや。ところがオタクのは無地ですー。」(以上、日本語でまくし立てる)『1000%ウソつきだ。人間的に扱ったこっちがバカなのか。きらいだね。信じない。』「I don't think so.だ。cancel.カバン下ろせ。」「アホっか。なにが深夜料金で$45じゃ。24時間$18ってちゃんと謳っとうやろが。うるせぇ。subwayでいく。それかairportにstayする。」『ウソにはウソでお返しやで。そら自業自得の反撃されるわ。』 やっと空港内まで帰還できた。浪費。アメリカンドリームをあきらめたカス?それでも人の子だ、たまに母堂を思うこともあるんだろう。おれ無いもんな。バスを予約しさらにターミナルで待つ。来ない。立ち往生。さっきのカスと始終目が合う。さっぱり客が釣れてない。『元気なくなってるがな。こっちはこれで平常心やからな。キチガイに思われてるやろけど。謝らんし。』「Mr...」迎えだ。『がしかし、このドライバー、輪をかけて胡散臭い。合ってんやろな。』しかも11時を回ったぞ。乗り込んでみると、すでに7,8人いた。ナ、ナニ人とナニ人とナニ人ですか?今のところ新大陸という気がまったくしない。いやこれこそアメリカなのか。フシギフシギ。満席でやっとスタート。後ろから左からスペイン語。メキシコからの家族?おばあちゃんも連れて。いったん走り出すといいスピードで飛ばしてじきミッドタウンへ。ん、ウォルドーフ−アストリアっぽいホテルに停まる。いやそのものだ。しかもあの一家が。奮発したなー。じゃタクシーで行きゃよかったのに。奥のシートに座っていたピンクのTシャツからお腹が出てる娘が腰から水色のパンツを丸見えにして、sorryと言いながら降りていく。むろんNo problemとかえす。ぼくの宿に着くのはもう少し先のことだ。

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