中世の石と庭に酔う

つづけて7時間眠った。次に気づいたら地下鉄のなかだった。昨日、建築地図を一枚なくしていた。余白に、路線をメモっておいたのだが、乗車しているこれで正しいのか、不明だ。車内は空いている。荷物は折りたたみ傘だけ。斜め向かいの合衆国民がチャーミングだ。このままどこまでも乗っていこうと考えた。

駅を出ると山のような所で、なぜだか、京都の蹴上に似ているななどと思った。迷った。ちょっといなかになっただけで途端に心細くなる。森の中でおしっこしてたら物音でビクッとした。撃たれるのかという懸念もよぎったが、例のリスにほかならなかった。暑くもないのに汗をかいた。あとからふり返ると、ぼくは病気になりかけていたのかもしれない。

クロイスターズは感動が大きかった。摩天楼や42丁目の喧騒とともに、ニューヨークに来たらこの中世の静謐を同時に体験すべきである。結果として、ここで最も頻繁にシャッターを切ることになった。
6つの修道院や教会の断片をブリコラージュしているため、柱頭などの様式がふぞろいであったりして興味深い。

なんとか雨が降らず、ピンクの列柱廊がハーブの香りを包む中庭につかの間佇むこともゆるされた。

地下鉄の最大のデメリットは、文字通り、地下である(景色がみえない。日が差さない。)、なので、帰りはバスでひたすら南下、でも、あんまり各停なんで、思いつきで降りたら、そこがコロンビア大学だったりして、縁がないから行程に組み入れていなかったけど、せっかくなんで瞬間入ってすぐ出てきたり、あげく地下鉄にもどしたり。ゼイバーズのエッグサンドは5$。また無駄遣い(温めてもらおうとしたら、バイトに、「マイクロ?マイクロ?」と訊かれた。チンのことらしい)。雨。バス。